noteの記事と同一です

たまに聞く理屈

RやSシリーズを含む、α7の映像の色深度は8bit。

一方同じような世代のライバル機である、BlackmagicDesign PocketCinemaCameraやPanasonic GH-5などは10bit以上。表現できる諧調の桁が違う。

加えて、高い圧縮率によって後処理の余地が少なく、撮って出しのウエディングや「なんちゃってLOG」が限界である。

雑感

実際に色調をしていて、確かに天下のArri LOGやらBlackmagic RAW、SONY FX-9等プロ機で撮ったS-LOGには勝てない感があります。

結論から言うと、SDカードにぶち込んだ4Kで無茶な色づくりをしようとするほうが悪いんだと理解しておりまする。

実例で言うと、よくある「曇り空を青くする」的なグレードをするだけでも、カーブを弄りだしてすぐに空がブロックノイズだらけになってしまい、「ああ、このデータでは無理ですわ」と言うしかありません。

これがRAWであれば、結構な無茶もできますよね。

RAWでなくても、ビット深度が10bitであれば色彩はかなり滑らかです。

以下は「SONY XPERIA 1」の映像ですが、れっきとした10bit!フルサイズの精細感こそないものの、かなり滑らかな質感を出しています。

(圧縮jpgの為ある程度しっとり感は落ちていますが)

シネマで大変なウェイトを占める、スキントーンのカラーコレクションでは更に顕著な差が出ます。

まあ、弄りたいところに「そもそもデータが無い」んだから致し方ありません。

RAWがアホみたいに容量を喰うのは、それだけ情報量が潤沢で色再現の余地があるから。

私的には、グレーディングで細かいところまで好き放題いじりたい「シネマ的な」使い方をする場合にα7を選ぶかというと「選びません」。

4KやHDRが撮れるとはいえ、綺麗なのは撮って出しでそのまま出す場合に限る。この使い方をする場合なら、何もしなくても(レンズによりますが)めちゃめちゃ高精細で奥行きのある映像が撮れます、めちゃめちゃ凄いカメラです、もちろん。

私は過去のα7シリーズを3台持ってますからね、嫌いなわけ無いです(笑)

でも、コテコテにグレーディングをかける商業映像やMV等では力及ばないかもしれません。

α7で撮ったフッテージをDaVinciに入れてコントラスト拡張して、色を載せた時点でノイズが載ってることも多いです。

露出不足なら持ち上げなきゃいけません、そこで更にノイズが増える事も。

一般の人が作品を見てノイズに気付くか、それでも押し通して行くかは監督判断なので任せるとしても、カラリストとしてはいろいろ試して遊びたいのが正直なところ。

『あ〜もう、もうちょっとできるのに!』という妥協は気持ちのいいものではないです、

VideoAssistやAtomos等で外部収録をかければ大分マシになるので、レンズ資産や機動力等の他を使えない事情がある場合で「どうしてもグレーディングが必要」な場合にはせめてそちらを使うことを勧めます。

それらを揃えると、ブラマジ4Kあたりが普通に買える出費なんですが……あれは、実際に買って使った方が『バッテリーが本体から抜けない』不具合に遭遇していたのでちょっと怖いです。

現物を触らせてもらいましたが……奥のバネが曲がったのか、爪を除けてもバッテリーが飛び出してこないんです(笑)

その後解決したとの事ですが、不安要素があるのはいただけません。

えー、つまり……

α7自体は大変素晴らしい写真機ですし、家族で思い出ビデオを作る……といったニーズには見事な画質で答えてくれます。しかも一台で。

家族旅行で写真を撮りつつ動画も撮ってきて、あとからLUTを使ってグレーディングしてショートフィルムを作る……等、ライトな制作に使う分には最適で、とても楽しいカメラです。

見た人全員から『映画みたい!!すごい!!』と褒め称えられることと思います。

ただ、こだわり派の撮影監督が横にいる中でグレーディングをするような仕事には対応できない場合もあるという話。

そういう場合には、VENICEなりFS、FX9を買えというSONYからのメッセージかと(笑)

もちろん、マーケティングですからそれでいいと思います。個人が全部入りのカメラを買えるようになったら……結構な数の会社が大変な目に遭います(・∀・)

それもじきに変わっていく気もしますけどね〜